前回の導入に引き続き今回は、無発語から一語文が出始めた2歳6ヶ月頃までに私がしていたこと(前編)をまとめていきますので、気になる方は是非下の項目もご覧いただけたらと思います。
※発達には個人差がありますので、下記のことをすれば必ず誰でも発語するといったものではありませんのでご参考程度にお願いいたします。
この記事の目次
まずは王道のABAを実践
- 参考にしていた書籍「魔法の言葉かけ」「自閉症・発達障害を疑われたとき・疑ったとき」
- 娘にABAを行うときのポイントを本に沿って決める
興味があるものを増やそう!
- 療育からのヒント ★★★★★
- こどもちゃれんじ ★★★★★
- 運動教室 ★★☆☆☆
まずは王道のABAを実践
発達不安があるお子さんの親御さんはすでにABA(応用行動分析学)をご存知の方が多いと思います。
◉ABA(応用行動分析学)とは→行動のきっかけや内容からたどり着いた結果に注目し、結果の前後にどのような行動をしたか(働きかけたか)によって法則を見出し、より良い行動につながるように操作しながら支援していく方法である。
ABAを上手に使うと子供の好ましい行動を強化できたり、好ましくない行動を消去するなどが可能になります。(すぐに定着する訳ではなく、何度か繰り返し行う必要があります)
参考にしていた書籍
ABAについてはShizu先生/平岩幹男先生の、
「魔法の言葉かけ」
平岩幹男先生の、
「自閉症・発達障害を疑われたとき・疑ったとき」
の2冊で勉強しました。
「魔法の言葉かけ」はABAが主軸の内容でイラストが多用されておりイメージがしやすく、
「自閉症・発達障害を疑われたとき・疑ったとき」はLST(ライフスキルトレーニング)や運動・言語・日常生活・乳幼児健診から就学まで・・・と多岐にわたる対応方法が書かれております。
後者は特に発達不安の子供をもつ親目線で、
「あるある」「わかるわかる」「先生に気持ちが読み取られてる・・・?」
と思うくらい頷きながら読んだ1冊です。
誰にも相談できなかった分すごくメンタルが救われた一冊でした。
ABAを行うときのポイント
「魔法の言葉かけ」に記載されている「ABAを利用した言葉かけのすすめ」には以下のようなポイントが設定されています。
①親と子のいい関係を築こう
②スモールステップで成功体験を重ねよう
③褒め言葉を効果的に使おう
④できない課題には手助け(プロンプト)を
⑤コンプライアンスを築こう
⑥繰り返して、記憶や行動を定着させよう
⑦必ず成功体験で終わりにしよう
⑧課題を設定し、記録をつけよう引用:「魔法の言葉かけ」から
私は上記のポイントから自分なりにしてみようと思うことを下記のように決めてみました。
①まず娘に好かれる努力をする
- 接する時は常に笑顔
- 身振り手振りを大きくする
- 話しかける際に必ず「娘ちゃん!」と名前を呼ぶ
- ハイタッチやボディタッチを増やす
- 娘の動作の真似をする
②一回にできることを多く求めすぎない
- こっちをチラッと見てくれただけではなまる!
- 何も出来ない日もあせらずイライラしない
③何か反応があった際にはすぐに褒める!褒めちぎる!
- おかあさんと一緒のお姉さんのように
- 時には芸人さんのように
- 常に大げさに表情豊かに
- ほんのちょっとの変化も見逃さずにめちゃくちゃ褒める
④娘が一人で出来無さそうな事はクロコになって最終的に娘の手柄にさせる
- 積み木で遊んでいる時やご飯を食べている時、90%私が手伝ったとしても最後の10%が娘にやらせて必ず成功させる
⑤娘の言いなりにはならず、やるべきことはやる、好ましくないことはやらせない
- 「これは嫌だ」と癇癪をしたとしても娘にとって必要なことであれば
「そうか〜嫌なんだね〜でもこれはやらなきゃいけないからね〜(ニコニコ)」
と笑顔を絶やさずに主導権は握る
⑥一度で成果が出なくても諦めないで繰り返す
- とにかく半年は諦めずに毎日やるぞと心に決める
⑦娘が「できた!」という気持ちで物事を終わらせる
- 娘にとって難しそうな課題は設定しない
- 課題に取り組まなかったり出来なくても絶対に怒らない
- 無理やりやらせない
⑧言語・運動に関する目標+1日に自分がどれくらい娘に対して働きかけをするかを決める
- 目を合わせる練習
- ハイタッチの練習
- 動作模倣を3回取り組む
- 絵本を必ず4冊読む
- 30回は褒める・・・など
上記の内容を毎日意識しながら娘に接していました。
ただ、無反応の娘を前にして上記の内容を継続するのは
もちろんキツかったです・・・。
お人形のように反応が無い娘に対して常に笑顔、歌のお姉さんのようにテンションを上げながら褒めちぎり喉が痛い毎日。癇癪を起こしてもニコニコしながらやるべきことは淡々と伝える。
取り組みを始めてから1、2ヶ月はひたすら暖簾に腕押し。壁打ちしてもボールが跳ね返って来ずどこかに行ってしまうだけのような心境でした。
改めて発達が遅れている子供への接し方の難しさを感じました。自分に子供ができる前は出先で子供を見るとこちらをじーっと見つめてくれたり、手を振って笑いかけたりしてくれたのでそれが普通だと思っていました。
無反応の状態に働きかけることがこんなに大変だとは・・・!!
※よければこの時期にやっていたメンタル回復法11選もご覧ください!
大変ではありましたが「魔法の言葉かけ」に記載されている取り組みの中で特に娘に効果があった項目を紹介します。(下記に記載している他にも一通りは実践しました)
◉目的別の褒め方
- できたことを褒める→(〜できてすごいね!、かっこいいね!、(くすぐりながら)上手〜!)
できた行動を強化し、定着させるのが狙い - 頑張っている過程を褒める→(その調子、大丈夫だよできてるよ、さっきより上手だよ、もう少し!)
実際にはできていなくても、その気にさせてモチベーションを上げるのが狙い - 存在を認める→(大好きだよ、ママ嬉しいな、助かるな、かわいいね、かっこいいね)
子供の自己肯定感を高めるのが狙い
◉ふれあい遊び
- 朝起きたら/夜寝る前「娘ちゃん大好きだよ」と言いながら抱き締める→
(スキンシシップの他、朝と晩に行うことで「私は娘が大好きなんだ、だから頑張れるんだ」と暗示を掛けてました) - 「娘ちゃんいくよ!」と声をかけながら風船やボールを投げる→
ボールや声に注目させ投げたり投げ返すことは会話のやり取りに似ていて、社会性を高める効果がある - ギッタンバッコン遊び→
向かい合わせに座って子供の体をリズムや音楽に合わせて揺らす。リズムを早めたり揺らし方を変えたりしても楽しめる
◉その他
- 指差し遊びで共同注視力を高める→
何か見つけて共有したい時は「あっ!」と大袈裟に注目させてから「アリ!」と指を指し子供にも「アリ」とおうむ返しをさせる - 命令形の言葉かけはできるだけ避ける→
「○○しなさい!」の言い方を「○○しようね、」「○○してください」などに全て変える。 - 問題行動はスルーし、ほめて消去する→
不適切な行動は注目せず、その後あえて好ましい行動をさせるように誘導しその際には沢山褒める
EX:食事中にわざとスプーンを落とした際すぐに叱らず無言で自分(親)が拾い、娘にはティッシュを渡す。娘がティッシュを使って床にこぼれたご飯を拭こうとしたらその行動だけに注目し「拭いてくれてありがとう!」と褒める。
※本に書かれている取り組みをそのまま記載しているものもありますし、私が自分なりに変えた内容も書いております。詳細は書籍でご確認ください。
本当に大変ではありましたが諦めずにここでABAの基本を身につけておいたお陰で、後々の癇癪や嫌なルーティーンの崩し方への対応にかなり役立つことになりました!
※ABAの中にはABC分析という手法もあります。これについてはもう少し言語理解が進んだ際によく使用していた事例として3歳から4歳の発達歴にも詳細を記載しているのでよければご覧ください。
興味があるものを増やそう!
療育からのヒント ★★★★★
娘は2歳5ヶ月頃から療育に通っています。
当時は
- A事業所:個別・小集団の療育1ヶ所(座学や遊びメイン)
- B事業所:小集団の療育1ヶ所(生活動作の支援や社会のルールなどメイン)
の計2ヶ所の療育に週3程度通っていました。(途中増えたり減ったりしています)
A事業所は先生と子供が小さい小部屋に入り、親はその様子を外から見られるようになっています。その状態で1時間程度おもちゃやカード遊びをしたり軽く粗大運動をしてくれたりします。
初めてA事業所のレッスンを受けた際、フラッシュカードというカードの使い方を初めて知りました。
◉フラッシュカードとは→物や文字、数字など様々な種類の写真や絵を短時間でテンポ良く見せていくもの。早期教育としては暗記する力や集中力を高めることを目的としていることがある。
このフラッシュカード、初めて見た時ギョッとしました。
先生がめくるスピードが早い、物の名称をいうのも早い、早すぎる。
1秒間に2枚くらいの勢いでめくってらっしゃるぞ・・・!?
これを行う意味は一体・・・!?と思ったので施設長さんに聞いてみました。
「あの・・・うちの娘多分こんなに早く見せられても覚えられないと思います・・娘にはこんな高度な暗記は早いかと・・・」
「あぁ、このカードの目的は暗記じゃ無いですよ。」
「目的は3つで、①娘さんの興味の幅を広げること、②着席を促すこと、③カードを見続ける集中力を養うこと ですね」
「元々子供の集中力は【分数✖️年齢】と言われており、2歳だと2分持つかどうかくらいなんです。でもカードを見続けてたりその後絶え間なくおもちゃを出すことで、もう既に10分以上集中して着席されてますよね。」
「今まで見たことがないものを見たことが無い出し方で見せられるとお子さんは興味が湧いて惹きつけられます。最初は何が何だかわからなくて見てる場合がありますが、慣れてくるとカードの内容にも集中して見ることができ、内容に興味が湧けばそれが発語にもつながっていきます」
「なるほど・・・ということは、娘の発語を促すには闇雲に声がけを頑張るのではなく、まずは娘が興味を持てるものを見つけさせて、それについて集中的に声がけをする方が効果的ということですか?」
「そうですね。大人と一緒で、興味があることや好きな人ができたら自分でもその物について深く知りたいと思ったり、好きな人ともっと話したいと思ったりしますよね。」
「子供にとってもその気持ちはとても大事なんです。ただ言葉が遅いお子さんは自分の好きなものについて表現することが難しいので、保護者の方はどんな声がけが効果的か悩んでしまうのだと思われます」
「なのでまずは、娘さんの興味があることや好きなものを増やせるように色々なものを見せたりいつもと違う声がけで注目させるなどして、『これはなんだろう?』と思わせるものを増やしてから『好き』につなげていければいいですね」
「『おはよう、いい天気だね』などの世間話的な会話もいいと思うのですが、いい天気だねの会話をするためには「空」「雲」「太陽」「雨」「雪」「温度」などの要素を理解する必要がありますから、晴れている日に一緒に空を見て「見てみて!あの白いふわふわが雲だよ!空は青いね!お日様がポカポカあったかいね、いい天気だね」と気持ちを共有するのもいいですね。」
なるほど〜!!!
まとめると娘に発語を促すためには以下のことが必要なんだと理解しました。
- 娘が興味を持てるものを増やすため色々なものを見せたり触らせたりしてみる
- 注目させたいものに対してはいつもと違う伝え方や出し方で興味を引かせる
- 自分が見ているものを娘に共有し、「こういうときはこんな風な気持ちになるね」と感情を教え共有する
こどもちゃれんじ ★★★★★
※こどもちゃれんじについては娘の発達歴2〜3歳編にも少し記載しています。
娘の興味が持てることを探さなくちゃいけないのは理解しましたが、絵本を読んであげようにもすぐにパラパラ捲られるか破られるかで終わってしまい、お外に出れば排水溝に石を落として数十分、児童館やおもちゃ屋さんは多動&癇癪でなかなか行けない・・・。
どうしようかな・・・できたら第一段階はお家の中で興味を引き出してあげられるものは無いかな・・と考え、Twitter(現:X)で情報収集をしていたところ、「こどもちゃれんじ」が目に止まりました。
そういえば私もこどもちゃれんじやってたなぁ・・・とふと思い返しますが、でも同年代の内容は難しそうだしすぐに飽きられちゃうかも・・・レベル高いよ・・・またメンタル落ちるかも・・・と思いながら公式サイトを覗くと、
「こどもちゃれんじは実際の年齢と違うコースも受講いただけます」
との記載が。
ということは一年遅れでも受講できるってこと??と思い立ち早速コールセンターに電話で聞いて見ました。※実際の年齢と違うコースを選ぶ際は電話での申し込みが必要です
お電話で確認して、「一年遅れのご受講可能です!」と言っていただけたので早速申し込み。
当時の娘は2歳過ぎていたので本来は2、3歳向けの「ぽけっと」が該当しましたが、1、2歳向けの「ぷち」を受講することになりました。
こどもちゃれんじを受講すると届く教材は主に
- 絵本やワーク
- おもちゃ(エデュトイやしまじろうパペットなど)
- 絵本やおもちゃと連動したアプリ・映像特典
などになります。
※年間ラインナップやどのような教材を扱っているかについては公式サイトをご覧ください。
※写真は一例です。
こどもちゃれんじを受講してから1ヶ月経過した頃の変化としては
いい影響しかありませんでした!
◉1ヶ月の成果(こどもちゃれんじ&ABA実践)
- 応答の指差しが出た
- 課題クリア時に自然と拍手が出るようになった
- リトミックの動作模倣をするようになった
- 発語が2語増えた
- キャラクターに興味を持つきっかけになった
- 車のおもちゃにしまじろうを乗せて正しく遊ぶようになった(それまではタイヤ回してた)
- こどもちゃれんじの絵本だけ少し集中して読めるようになった
- こどもちゃれんじの手遊びや歌に少し反応するようになった
- アプリのパズルなどを通して共同注視が育った
絵本やおもちゃももちろんかなり発語に役立ってくれたのですが、こどもちゃれんじを受講していると使える「ことばコレクション」というアプリが特に良かったです!
タブレットをタップすると風船が割れて飛び出したものの名前を教えてくれ、最後に2択のクイズを3〜4問できる感じの内容です。
絵本をタッチする言葉ずかん的なものは食いつきが無かったのですが、動画なので目をひきやすく集中してくれ、尚且つ1ページに情報量が少ないので気が散らずにことばに集中して取り組めている感じがしました!
また、こどもちゃれんじはDVD、おもちゃ、アプリが全て連動しているので同じ内容の学びを少し違う切り口から何度も繰り返しできるのもいいなと思いました!!
正直もっと早くやっておけば良かった・・・と悔やんだくらい成果が出たと思います。
さて、好きなものや興味があるもの探しはこれで少し進展しました。
ここで調子に乗った私は、「療育以外にも習い事をしてみたらどうかな?」と思うようになります。
運動教室 ★★☆☆☆
平岩幹男先生の「自閉症・発達障害を疑われたとき・疑ったとき」に、
運動発達はそれのみが単独に発達していくのではなく、知的な発達や社会性の発達にも支えられており、これらは相互に関連を持っています。
という一文があります。
漠然とでしたが「発語には喉や口の器官だけじゃなくて、粗大運動も関係がある」と理解し始めていた時期だったので、「運動療育もやりたいな」と思っていました。
運動療育についても調べてはいましたが近場では空きが全くない状態・・・。
「でも少しコミュニケーション取れるようになってきたし、もしかしたら定型の子たちと一緒に運動教室に通えたらもっと言語も伸びたりしないかな?」と思うようになりました。
結果からすると、地域でやっている子供の運動教室に入会したのですが、
わずか2ヶ月足らずで辞めてしまいました・・・。
その運動教室は2〜3歳クラスで少人数制。
小さな体育館の中でマット運動や風船つき、簡単なボール遊びなどを先生と一緒に行いました。
入会してすぐは娘も楽しそうだし、先生もとっても優しいし入って良かった〜と思っていたのですが、やはりまだ発語も少なく人への興味が少ない娘にとっては色々なルールを守らなければいけないレッスンはハードルが高過ぎました。
- きたらみんなで挨拶をする
- 手を洗う
- 一つのマットの上に座ってまつ
- 準備体操をする
- 順番を待つ
当時の娘は上記のことが一つもできませんでした。
自分より月齢が低いお子さんが「◯○です。(自分の名前)りんごが好きです」と自己紹介している隣で早くマットに転がりたくて抱っこからすり抜けようとしたり、
手を洗うときも水が落ちるのをずっと眺めてるだけで洗わず、娘の後に行列ができてしまったり、
ボールを使って順番に転がすゲームの時は先生からの指示が無いのに転がしてしまい他の子を待たせてしまったり、
先生がマットや器具を準備している時に座っておられず、準備の邪魔をしてしまったりと・・・・
娘はただ楽しく何にも縛られずに遊びたいだけなのに色々なことに制止がかけられることにストレスを感じているようでしたし、その様子を見ている私も周りに申し訳ない気持ちや、娘の発達程度をちゃんと見極められなかった情けなさも混じって、段々お休みをすることが増えその結果退会してしまいました。
粗大運動をすること自体は本当にいいことだと思うのですが、娘の発達具合からするとまだまだ早過ぎたように感じます。
習い事をさせるときは娘も周りもある程度楽しめ、納得できる位発達が進んでからの方がいいんだろうな・・・・と痛感したのでした。
次回は「無発語から一語文まで」の後編になります。
よろしければそちらも読んでいただけると嬉しいです。
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