この記事では、私が実際に娘(当時2歳〜)に行っていた動作模倣の練習方法をお伝えしたいと思います。
※この記事は娘の発達歴(1歳〜2歳)(2歳〜3歳)(3歳〜4歳)の記事を先に見ていただくと言葉と併せてどのような発達状態だったか分かりやすいと思います。
無発語から会話までのこちらの記事をご覧いただいても分かるとおり、動作模倣は発語の促進につながりやすいツールだと思います。
お子さんの発語に悩んでいる方は、言葉への働きかけの他に動作模倣も取り組んでみるといいかもしれません。気になる方は是非下記項目から記事を読んでいただければ嬉しいです!!
※子供の発達には個人差がありますので、こちらを実践したら必ず誰でも効果が出るよといったものでありませんのでご了承ください。
この記事の目次
動作模倣とは?
娘が動作模倣をするようになった時期
効果的だった対応(発語なし、模倣なしの状態から)
- 後ろから補助付きで教える
- 人差し指は特別な指と教える
- 親の真似だけではなく娘の真似をしてみる
- 親二人で同時に注目させる
時期別動作模倣のススメ
- 全く興味がない時期(動かない)
- 模倣対象のものに注目はする
- 模倣対象を見ながら体を動かそうとする
まとめ
動作模倣とは?
動作模倣とは、人の動作をまねすることです。
動作模倣ができるようになると、幼稚園や保育園、小学校という集団の場でも、分からなかったら人の行動を見て真似をして、自分で行動しようとします。
また、動作模倣、つまり人の真似をしようとするのは、自分が集団の一員として自覚する意味もあります。
是非、この力を付けて、自ら学ぼうとする力の基礎としたいですね。
動作模倣とは読んで字の如く、対象の人の動きを真似することです。
それはバイバイと手を振ったりお辞儀をしたりする日常生活の中で使われるものから、体操やダンスなど少し高度な体の動き方も含まれます。
動作模倣はまず模倣対象のもの(人)に注目することから始まります。
動作の模倣ができるようになれば口元の動きや指先の動きなど細かい部分も意識するようになり、音声模倣の促進になったり生活動作(ボタンかけ、歯磨き、靴の脱ぎ履き、服の脱ぎ着 など)も自分でできることが増えたりと子供の発達にもいい影響がありました。
※発語が中々進まないなぁとお悩みの場合はこちら(指差しの記事)やこちら(発語関係の記事)を併せてご一読いただければと思います。
娘が動作模倣をするようになった時期
娘が動作模倣をするようになった時期は2歳4ヶ月頃でした。
通常は大体どれくらいの時期から模倣が始まるのかな?と調べてみた結果・・・
子どもは生後9ヶ月ごろから真似をしたがるようになります。大人が日ごろおこなっている、化粧や歯磨きなどを、そばでじっと観察して、真似しようとすることはありませんか? また、「あー」、「うー」など、大人の声と同じように声を出すこともあります。
動作模倣が始まる時期、早すぎる。(涙)
9ヶ月のふにゃふにゃの時期に模倣してくれたら可愛いだろうなぁ、してほしかったなぁ・・・その時期を思い出してふと切なくなってしまいました・・・。
ちなみに娘が初めて行った模倣は「拍手」「頭に手を置く」でしたが、本当〜〜〜〜〜にたま〜〜〜〜〜に運がよければ見れるような感じでした。
それでも大分苦労しながら教えていた記憶があります・・・。
効果的だった対応(発語なし、模倣なしの状態から)
動作模倣を本格的に教えようと思ったのは娘が全く動作模倣をしなかった2歳過ぎ頃の時期です。
発語も無く意思疎通がほぼできていない時期だったので本当に繰り返し繰り返し毎日教えていました。
こちらでは、その繰り返し行っていた対応の中でも効果があったものをご紹介します。
後ろから補助付きで教える
この方法は、主人が娘と子供向けのテレビ番組の体操コーナーを見ていた時によくやっていました。
全然喋らず意思疎通も無い時期ではありましたが、体操コーナーの際には主人が「娘ちゃん一緒に踊ろう!!」と言いながら背後から手を取り大袈裟なくらい大きく娘の体を補助し(というか操り人形みたいになってた)て動かしてあげると娘は楽しそうに笑っていました。
主人は療育や発達についての知識はほぼ無いのですが、よくアレクサの音楽に合わせて背後から補助して娘に指揮をさせてみたり、足を持って四股を踏ませてみたり塩をまく動作をさせてみたりしていました。
そんな無理に体を動かさせて大丈夫かな?自発的に動くまで待つ方がいいんじゃない?と思っていましたが、後に読む「魔法の言葉かけ」「自閉症・発達障害を疑われたとき・疑ったとき」にも背後から指や手を取り動作を補助しながら動かしてあげるやり方は指差しや模倣の練習方法として挙げられています。
何より娘自身も体を動かす楽しさを誰かと一緒に共有し、体感できていたのだろうなと思います。
(私が見本を見せながら〜だけだと全くの無反応でした)
ABA(応用行動分析学)でも「楽しい!」「嬉しい!」と思えることを強化することで自発的な行動につながっていくと言われているため、体の動かし方はまだわからないけどとりあえず補助付きでも楽しい気持ちを表現してくれていたのでここが模倣の第一歩だったのかなと思っています。
効果音+人差し指は特別な指と教える
2歳1ヶ月頃によくやっていたのは私の手の甲にシールを貼り、その部分に指で触るのを促すことでした。
◉指タッチのやり方
※おすすめは食事用のベルト付き椅子などに座った状態でやることです
- 「娘ちゃん!!みてみて!ここみてて!」などと声がけをして注目させる
- 「ママの手にシールを貼ります。ペタ。」と言いながら目の前で手の甲にシールを貼る。
- 「シールを触れたらまるだよ!まずママがやります!」「ちょん!」と言いながら人差し指でシールを触る。
- 「シールじゃないところを触ったらばつ!ぶっぶーだよ!」と言いながらわざとシール以外の場所を指差して「ブー」と言う。
- 自発的に手が出なければ片方の手で補助しながらシールに触らせて「まる!」と言ったりシール以外を触らせて「ブー」と言ったりを繰り返す
うちの娘の場合は何故か人差し指以外の手で触ろうとしたことが多かったため(親指など)、「人差し指は特別な指だよ、人差し指で触れると特別な音が鳴るよ」と伝えました。
そして人差し指以外で触るときは「まる」と言い、人差し指で触ってくれた時は1オクターブ高い声で「ピンポーーン!!」と言っていました。
娘はそれが楽しかったらしく、毎日その人差し指タッチを繰り返していくうちに私の声や顔、反応を見ながら楽しく真似っこタッチをしてくれるようになっていきました。
親の真似だけではなく娘の真似をしてみる
この方法は療育(A事業所)の施設長さんに教えていただいたやり方です。
「娘に模倣を促したいんですが、まず私の方を中々見てくれません・・・」
「娘さんの意識が違う方を向いている時は声がけをしても中々入りにくい場合もあるかと思います。そんな時は、娘さんが何かしら行動を始めたときに逆に娘さんの模倣をしてみてください」
「娘の模倣ですか?例えばどんな時にどんな風に模倣をしてみたらいいんでしょうか」
「娘さんが今意識が集中しているとわかりやすい行動をしている時がいいですね。例えば、おもちゃの太鼓を叩いているときや、くるくると回っているとき、スプーンを持っているときなどに同じ動きを模倣してみてください」
「模倣するときのポイントは『今娘ちゃんと同じ動きをしているよ!』と伝わるようにアピールすることです。」
「『あっ、太鼓してるの良いな〜ママも真似しちゃおう!トントン♪』と言いながら叩いてみたり、『ママはもっと大きく回ってみよう!!ぐるぐる〜!!』と言いながら大袈裟に回ったりしてみてください」
「娘の真似をしていることが伝わればこちらを意識してくれるんでしょうか?」
「子供が何か行動を起こす時って、自発的に『これやりたい』と思わないとやらないじゃないですか。だから親のタイミングで『みてみてこれ真似して!』って言っても子供自身がやりたくなければやらないですよね。」
「でも子供が自発的にやっている行動って『今自分がやりたくてやっていること』だから既に意識が集中していることなんですよ。だからそれを親が真似してあげるだけで自然と親の方にも意識が向くことが多いんです」
「あ、なるほど・・・!!」
「子供を模倣中に子供がこっちをチラッとみてくれたり意識している様子が見られたら、次は親主体で別の行動をしてみてください。例えば子供の真似でくるくる回っている途中にこっちに注目してくれたら「ぴた!」と言いながら止まって見せるとか」
「子供の真似をして興味を引きつけている状態で、次は親が主体でやらせたい模倣を見せるわけですね!」
「そうです!その状態なら意識が親に向きやすいので、何もない状態から模倣をさせるよりも効果的かと思います。」
「なるほど!やってみます!!ありがとうございます!」
と言う感じで、
- 娘がやりたいことをやっている時に娘の真似をして意識を向ける(声を出したり音を出したりして注目させながら)
- 真似されるのを嫌がらずこちらに意識が向いてる感じがしたら次は親主体で別の動きをしてみる
- ニコニコしたり反応が良ければ継続して行う
と言う逆模倣のやり方を教えていただきました。
逆模倣を教えていただいた時は私に注目しない、声がけに気がつかない、無反応、と模倣を教えるのに中々厳しい状態だった娘ですが、このやり方だと「親に意識を向かせる」と言う段階にすんなり入ることができました。
もちろんそのままずっと集中してみてくれるかどうかはその日によってはいましたが、「おもちゃを叩く」「楽器を鳴らす」「拍手をする」などの音が出る系の模倣は、逆模倣からの集中力も途切れること無く見てくれる率が高かったです!
「逆模倣からの音を出す模倣」個人的にかなりおすすめです!!
親二人で同時に注目させる
これはうちの娘の場合ですが、私が一人で模倣を見せるよりも私と主人の二人が同時に同じ模倣を見せるとほぼ100%注目してくれました。
と言っても、同時に同じ動きをするのは難しいので拍手やバイバイ簡単な手遊びなど、調子を合わせるのが簡単なものを中心にやっていました。
◉複数人からの模倣のやり方
※おすすめは食事用のベルト付き椅子などに座った状態でやることです
- 模倣を見せる側が子供と向かい合わせに座り「娘ちゃん見てみて!」と意識をこちらに向かせた状態にする。
- 「今からパチパチ(バイバイ)するよ〜!」と宣言をしてから二人同時に
- 「パチパチ〜!!(バイバイ〜!)」と声を出しながら動作をして見せる
- 子供の気分が上がるまで繰り返し見せる
- 子供が少しでも模倣をしてくれたらめちゃくちゃ褒める
パペットや人形を持ちながら行うのも目をひくようでよく見てくれました!
うちの娘の場合は3〜4回模倣を繰り返して見せているとほんの少し動きを真似するように動いてくれるようになり、その際はすかさず褒めまくっていました!!
上記の対応を組み合わせながら継続してみたところ、2ヶ月程度(2歳5ヶ月頃)拍手やバイバイ、頭に手を置くなどの模倣を少しずつやってくれるようになりました。
時期別動作模倣のススメ
模倣に反応が無い時期が長かったので、スモールステップで段階を踏みながら行っていきました。
こちらではどれくらいの時期にどんなことをやったかを段階別に書いていきます。
模倣に全く興味がない時期
【〜2歳3ヶ月まで/発語なし/呼んでも反応なし/指差しなし】
- アンパンマンの体操の動画を一緒に見ながら娘が興味ありそうな動きのところだけ背後から補助しながら一緒に踊った(体を揺らす、拍手するなど)
- 人差し指でシールに指タッチ(補助つき)をやらせた
- 逆模倣でこちらに意識を向かせた。(まだこちらの模倣はあまりしてくれない)
- 主人と同時に模倣を見せた(拍手、バイバイなど簡単なもの)
- (1日に15回程度模倣の練習をしていました)
【結果】
- 人差し指で陳述の指差しができるようになった!
- 好きな動画を見ている時や音楽が流れている時にそちらに意識を向ける様子が見られるようになった!
模倣対象のものに注目はする
【〜2歳6ヶ月まで/一語文出始め/呼ぶと振り返る/陳述(接触)の指差しあり】
- しまじろうの体操の動画を一緒に見ながら補助なしでなんとなく体を一緒に動かす(こどもちゃれんじを受講し始めたため興味がある内容だった)こどもちゃれんじ関連の記事はこちら。
- 逆模倣を継続。注目してくれる時間が長くなり、頭肩膝ポンなどを曲が終わるまで注視してくれるようになる。
- トイレや部屋のドアをノックすると相手からもノックが返ってくる「ノック遊び」をする。
- お寿司屋やスーパーのチラシを使って「これはマグロ」「これはうどん」「これはサーモン」「これは唐揚げ」「これはお稲荷さん」などと指差しタッチ遊びをする。
(色鮮やかであまり見たことが無いものに注目しやすかったのでチラシを多用していました)
【結果】
- 親が指差しをした方向を即座に見るようになった
- 親の様子や反応を見て楽しそうなことをしている時は動きを真似しようとする様子が見られた
模倣対象を見ながら体を動かそうとする
【〜2歳11ヶ月まで/簡単な言葉のやりとりができる/呼びかけにすぐ反応/指差し前段階可能】
- お風呂にポスターを貼り、指差しの練習をする(詳細はこちらの記事にて)
- 1から5までの数字を指で作る練習をする(微細運動の強化)
- ボディイメージをつけさせるために自分で見えないところ(肩、背中、お尻など)を触る練習をする
- ボディイメージをつけさせるために上を見ないで鉄棒の下を潜らせる
- しまじろうの体操の動画を見ながら「腕を伸ばすよ〜」「足を伸ばすよ〜」「しゃがむよ〜」「ジャンプ!」などと声だけで補助しながら体操をする
【結果】
- リトミックや体操の動きがお手本無しでできるようになる(トントントントンアンパンマン)
- 体の部位にタッチ(頭、肩、膝、ほっぺ、お尻)、バンザイ、しゃがむ、ジャンプ、揺れる、肩足立ち、足ぶみなど)
- 日常生活の中の身辺自立が進んだ(靴の脱ぎ履きや着替え、手洗い、名前呼び挙手、うがいなど)
- 顔のパーツを指差すことができる
2歳10ヶ月頃に療育の先生の真似をしながら自分で1から5までの指の形を作ることができたのですが、その模倣ができるようになってからは体の使い方が急にレベルアップし、リトミックや日常動作も前より自発的に行うようになりました。
また、同時期に話す言葉の数も増え、下記のような簡単なやりとりもできるようになりました↓
2歳10ヶ月頃
→簡単なやりとりができるようになる
娘「あれー?」私「何?何かいた?」娘「アリー」私「え?どこ?」娘「ここー(指さす)」
私「ブランコもう一回やる?」娘「もっかいー」娘「1.2.3.4.5.6.7.8.9..じゅー」私「やったね!」娘「イエー」
模倣の練習の他にもいろいろなことに興味を持てるように外出先でいろいろなものを見せたり気持ちの共有をするなどの取り組みも行ってはいましたが、やはり体の動かし方が上達すると言葉の成長にも影響があるんだなと実感しました。
まとめ
と言うわけで、娘が動作模倣を自発的にするようになったのは2歳4ヶ月頃の時期で、行っていた取り組みで効果的だったものは
- 後ろから補助付きで教える
- 人差し指は特別な指と教える
- 親の真似だけではなく娘の真似をしてみる
- 親二人で同時に注目させる
の4点です。
上記の取り組みは発語もなく親への意識も薄い時に繰り返し繰り返し行っていました。
取り組み始めは無反応でスルーされる時期が続くのでやはりメンタルに来ましたが、言語模倣よりは成果が出るのが早かった気がします。
また、とにかくほんの少しでも親を意識する様子が見られたり動きを真似する様子が見られたらめちゃくちゃ褒めて褒めて定着化させようとしていました。
ただどうしても中々効果が出ないな〜と思う時もありました。。。
そんな時は「今日は模倣練習はやらない」と決めてダラダラ過ごしたり、こちらの記事のメンタル回復法を行いながら騙し騙し継続していきました。
ただ、やはり動作模倣をするようになってから発語が増えたり生活動作を自発的にやろうとするなど、親側としても楽になったことが増えたのは間違いありません・・・!
お子さんの状態と親御さんの様子を擦り合わせながら、頑張れる時は頑張って無理な時はぶん投げる日も設けながら、動作模倣が進むことを願っています・・・!
今回は動作模倣についての記事を読んでいただきありがとうございます。
よろしければ他の記事も読んでいただけると嬉しいです。
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