※この記事は娘の発達歴(1歳〜2歳)(2歳〜3歳)(3歳〜4歳)の記事を先に見ていただくと言葉と併せてどのような発達状態だったか分かりやすいと思います。
前回の無発語から一語文が出るまで(後編)に引き続き今回は、一語文から多語文が出始めた3歳0ヶ月頃までに私がしていたことをまとめていきますので、気になる方は是非下の項目もご覧いただけたらと思います。
※発達には個人差がありますので、下記のことをすれば必ず誰でも発語するといったものではありませんのでご参考程度にお願いいたします。
この記事の目次
共同注視を高め、指差しやハイタッチが出る率をあげた
- できたこと、やろうとしたことなどを都度褒め+ハイタッチを促した
- お風呂場に手作りポスターや人物の写真を貼った(娘/私/主人)
教える言葉の中で優先順位をつけた
- 「ありがとう」よりもまずは要求語
プロの方に相談した
- 言語聴覚士(むぎちょこさん)
- 理学療法士(西村猛さん)
共同注視を高め、指差しやハイタッチが出る率をあげた
できたこと、やろうとしたことなどを都度褒め+ハイタッチを促した
※指さしと発語の関係、指さしの練習方法などはこちらの記事をご覧ください。(先にこちらを読んでいただいた方がこの記事もわかりやすいかもしれません)
共同注視とはざっくり言うと、
「一人ではなく二人以上で何か同じものに注目をする、そして共有をする」
と言うコミュニケーションのことです。
共同注視を高めることで、親や周りの大人たちが注目させたいこと(歩いている犬、飛んでいる飛行機、絵本の中のキャラクター、ご飯を食べるスプーン、親の指先、自分の足元・・など)に意識を向けてくれることが多くなり、それにより何か(言葉や動き、数字や色・・など)を教えたい時の集中力や興味の持ち方も上がっていきました。
また、ハイタッチについては平岩幹男先生著書の「自閉症・発達障害を疑われたとき・疑ったとき」を参考にさせていただきました。
なお、タッチもハイタッチも言葉を使わずに動作で行う「非言語的」な対応ですが、言葉を話すことのできない子供とする時には、「やったね」「すごいね」「ありがとう」など必ず言葉をかけてください。いずれも後述の「ほめる」につながっていく大切な技術です。できることを信じながら少しづつです。
引用:「自閉症・発達障害を疑われた時・疑ったとき」
ちなみにこちらの書籍には下記のようにハイタッチのポイントも記載されております。
- お互いの手は目より上にあげる
- できればお互いの目の高さを揃える
- パチンと音を出す
全て意識してはいましたが、特に3に関しては「こども」に達成感を味わわせるため「こども」自身に音を出させると良いとあったため、親側の手の位置やハイタッチする時のスピードなどもあれこれ試しながら行いました。
言葉が中々出てこない時のコミュニケーションツールとして、褒め言葉とセットでかなり多用していました。
ブロックがつめた時、靴を脱げた時、名前を読んで振り向いてくれた時など・・どんな事でもハイタッチしまくっていました。笑
音を大きめに出してあげると「できた!」のイメージが強くなるのか娘も嬉しそうにしており、いつしかハイタッチを期待するように私の顔をよく見るようになりました。
お風呂場に手作りポスターや人物の写真を貼った(娘/私/主人)
指差しの練習方法の記事にも記載したのですが、娘にとって言葉のインプット+アウトプットに最適な場所はお風呂場でした。
なので↑写真の「ことばはっけんポスター」の事物名称がわかるようになった後、他にも覚えさせたい名称をイラストと共に載せて自作のポスターを作りました。(こどもちゃれんじポスターの上部2枚)
お風呂で応答の指差しが出てからは新しいポスターを貼ると「あ!」と嬉しそうにしてくれ、応答の指差しクイズも楽しみながら取り組むことができていました。
また、この調子で「ママ」「パパ」「娘ちゃん(自分)」の顔と呼び方の認識も合わせたいなと思い、私、主人、娘の顔写真もお風呂場に貼って応答の指差しクイズをしていました。笑
はじめて二週間程度で「ママはどこ?」と尋ねると写真を指差したり私の顔を指差したりするようになり、「ママ」の発語はすぐには出ませんでしたが、「この人はママなんだな」と認識できるようになってくれてとても嬉しかったのを覚えています。
ちなみにお風呂にポスターを貼る方法は、発語が出た後も「電車のマナー」や「スーパーのルール」などを教える時にも自作して貼って使っていました。
やはりリビングよりも集中して見てくれるので教えやすく、この方法は多用しました。
お風呂場活用おすすめです!!
教える言葉の中で優先順位をつけた
「ありがとう」よりもまずは要求語
「そろそろ事物名称以外の言葉を教えたいな・・・。まずありがとうやごめんなさいも知ってほしいし、自分の名前も覚えてほしいし、できればママって言ってほしい・・・」
など、覚えてほしい言葉は山のように出てくるのですが、こちらの発語の導入記事にも書いた通り娘の「言葉を受け取る力」は恐らくかなり弱い状態(というか興味が薄かった)かなぁと思っていたので、教える言葉に優先順位をつけてから教えることにしました。
と言うわけで、自分なりにまず最初に教えたい言葉を下記のように決めました。
- 挨拶「おはよう」「おやすみ」「バイバイ」
- 家族の呼び方「ママ」「パパ」「娘ちゃん(自分の名前)」
- 体の名称「顔」「目」「鼻」「口」「耳」「頭」「腕」「手」「指」「足」
- その他「ありがとう」「ごめんね」「貸して」「いいよ」「ちょうだい」「どうぞ」「とって」「やって」「食べる」「おいしい」
一般的に他者と関わる際に必要な最低限の言葉と、体調が悪かったり怪我をした際などに体のどの部分かを教えてもらうのに必要かなと思い上記のように一度決めました。
ですが、一応取り組む前にA事業所の施設長さんにもアドバイスをいただくことにしました。
すると、
「そうですね・・・どれも大事な言葉だと思いますがもし最優先で覚えさせるとしたら、娘さんの場合は【要求語】が良いんじゃないかと思います」
「要求語と言うと、「やって」とか「とって」とかですか?」
「そうです。あとは「ちょうだい」「見て」「ほしい」「手伝って」「教えて」なんかもそうですね。要求語を使えるようになると、自分の思い通りになることが増えますよね?」
「高い場所にあるお菓子が欲しいのにわかってもらえず取ってもらえないとストレスになりますが、自分が「取って」と言うだけで周りが動いてお菓子を取ってくれたら良い気分になりませんか?」
「確かにそうですね!自分じゃできないことを言葉ひとつで周りが動いてくれたら楽ですしね笑」
「その通りです!要求語は「言葉の便利さ」を実感しやすいので教える優先度は高めてあげたほうがいいかなと思います。」
「ありがとう」や「ごめんね」ももちろん覚えた方がいいのですが、娘さんの場合は「言葉を出したい」と言う気持ちをもっと高めてから、感謝や謝罪の意味、どんなシチュエーションで使うかなどを併せて教えたほうが受け取りやすいかもしれません」
「まだまだ言葉に興味がない状態で教えてしまうと、発語してくれない時に「なんで言わないの?」と教える側も焦ってしまったりして、お互いに良くないですからね・・・。」
「それに元々娘さんは要求行動が少なめだとお伺いしてたので、要求語を理解することで言葉が便利だなぁと思うことができれば言葉の習得は早いと思いますよ!」
なるほど!いつもありがとうございます!
と言うわけで、施設長さんの意見も参考にさせていただきながら改めて下記のように優先順位を決め直しました。
- 挨拶「おはよう」「おやすみ」「バイバイ」
- 要求語「ちょうだい」「貸して」「取って」「やって」「見て」「教えて」「遊んで」「手伝って」
- 家族の呼び方「ママ」「パパ」「娘ちゃん(自分の名前)」
- 体の名称「顔」「目」「鼻」「口」「耳」「頭」「腕」「手」「指」「足」
要求語をダントツの最優先事項にして、それ以外は程々に、でも便利だから教えよう〜位の気持ちで教えることにしました。
※それぞれの教え方についても別の記事で詳しく書きたいと思います。
プロの方に相談した
↑実際にオンラインで相談させていただいたむぎちょこさんと西村猛さんのYouTubeチャンネルです。めちゃくちゃ勉強になりますよおおおお
発達に関する書籍を読み漁ったりSNSで情報収集をしている中で、やはりどんなに頑張っても停滞期って訪れるものです・・・。
「なんとなく発達障害について完全無知の状態からは脱したけど、果たして娘にとって今最適な育児ってできてるのかな?もっと効果的な方法ってあったりしないのかな?」
と思いながら「言語 発達 遅れ」などと検索すると、
「言語聴覚士」
と言うご職業を目にすることが増え、「言語聴覚士さんって、多分言葉のスペシャリストなんだろうけどどんなことをするのかな?」と思うようになり、言語聴覚士さんが出演するYouTubeなども見漁るようになりました。
言語聴覚士はことばによるコミュニケーションに問題がある方に専門的サービスを提供し、自分らしい生活を構築できるよう支援する専門職です。また、摂食・嚥下の問題にも専門的に対応します。
引用:日本言語聴覚士協会
ことばによるコミュニケーションの問題は失語症や高次脳機能障害の他、聴覚障害、ことばの発達の遅れ、声や発音の障害など多岐に渡り、小児から高齢者まで幅広く現れます。言語聴覚士はこのような問題の本質や発現メカニズムを明らかにし、対処法を見出すために検査・評価を実施し、必要に応じて訓練、指導、助言、その他の援助を行います。
引用:日本言語聴覚士協会
YouTubeも勉強になるし言語聴覚士さんってなんか凄そう!是非是非相談したい!!
ただ調べていても私が住んでいる地域で言語聴覚士さんに見てもらえる病院は0・・・。
それもそのはず、2020年度3月の時点で、音声言語障害と聴覚障害を持つ方は約1646万人いるのに対し言語聴覚士さんの数は3万4000人程度と言われています。
単純計算で言語聴覚士さんは一人当たり550人程度をサポートしなければいけない程数が少ないのが現状です。
(参考:人間力認定協会「発達障害コミュニケーションサポーター」テキスト)
・・・・・・・・。
でも言語聴覚士さんに相談したい・・・・!!!!!
そんな時、よくYouTubeで見ていたむぎちょこさん(言語聴覚士さん)がオンライン相談をおこなっているとの情報を目にします。
親子で学べる療育教室 発達支援ゆず
※オンライン相談は受給者証などは利用不可の自費サービスとなります。
娘の言葉の習得に詰まっていた時期でもあり、よく拝見していたチャンネルに出演されてたと言うこともあり、これは是非ご相談させていただきたい・・・!とオンライン相談ポチーッ!!!!!
ちなみにむぎちょこさんの旦那様の西村猛さんは理学療法士さんで、ご一緒にYouTubeに出演されていたり、発達に関する書籍も出版されております。
理学療法士を一言でいうならば動作の専門家です。寝返る、起き上がる、立ち上がる、歩くなどの日常生活を行う上で基本となる動作の改善を目指します。関節 可動域の拡大、筋力強化、麻痺の回復、痛みの軽減など運動機能に直接働きかける治療法から、動作練習、歩行練習などの能力向上を目指す治療法まで、動作改 善に必要な技術を用いて、日常生活の自立を目指します。
引用:日本理学療法士協会
運動や模倣の力が発語にも関わってくることもなんとなくわかっていたので、これを機に理学療法士さんにもご一緒に相談したい!と思い、私はお二人とオンライン相談をさせていただくことにしました。
そして相談当日。
「よろしくお願いします・・・・!!」
メディアに出演されてらっしゃる方とお話しするのは初めてなので緊張しました。
お二人ともYouTubeでのお姿そのまま明るく軽快な話し口で自己紹介から悩み相談へと移ってくださいました。
当日のオンライン相談までに娘の年齢や事前情報(困りごとなど)を共有させて頂いていたので相談もスムーズ。
ちなみに実際にお伝えしていた困りごとは(当時2歳7ヶ月)、
- 発語が遅い(ハッキリ話せるのは「あお」「いや!」位でなんとなく聞き取れるのが10個ほど)
- 気持ちの切り替えが同年齢の子より時間がかかる
- 手を繋いで歩けない
- 子供をほとんど意識しない
- つられ泣き?をする
などでした。
その他にも色々ご相談させて頂いてあっという間の90分。
下記がオンライン相談で頂いたアドバイス一覧です。(ご本人からの掲載許可いただいております)
※あくまでもうちの娘の場合です
- 娘は現在療育やお家遊びが進んで指差しと事物名称が一致し、「物の名前に興味を持ち、知りたくなっている状態」、音声よりは視覚優位
- 視覚優位は言葉が遅れがちになりやすい
- 実物と言葉はセットで子供が「注目している時」に合わせて教える
- 外出時にぐずる時は外出先の写真(公園やスーパーのロゴ、幼稚園の外観など)を見せながら名称とセットで教えると見通しが立ちやすい+覚えやすい
- 発語させるために口元を見せても口や舌の動きをそのまま伝えるのは難しい
- 名詞より泣き声やオノマトペの方が簡単なのでそこから言えるようになる子供は多い
- 娘の要望が全て「あうあうあ」になる問題
→本人は「取って」と言っているつもりなので無理に訂正せず、「取って だね〜」と言ってすぐに要望を叶えてあげるのが良い - いつまでに喋るか断言はできないが、一気に発語が進む時期が就学前までに何度か来るはず
- 動作模倣が進むと発語の種類も広がっていく
- 動作模倣を進めるためにはまずボディイメージ(体の全体を捉える、肩や背中など見えない場所を自分で触る、後ろを見なくても椅子に座れる、鉄棒をぶつからずにくぐれる)などができているかを確認する
- 耳たぶや鼻、肩などの目で確認できない部分を真似して触れるかどうか見る(触れたらボディーイメージは進んでいる)
- 体の内側(内臓など)と外側(皮膚など)との境界を認識させる
- 体の外側(皮膚など)を意識させるためにマッサージや肩揉みなどのボディタッチを行うと良い
- 動作模倣をさせる際は左右対称の遊びが良い。(頭かたひざポンなど)自分の体の正中線や右、左の意識がしやすいため
- 模倣が難しい場合は後ろ側から(二人羽織のイメージ)手を取ったりして教えてあげる
- 1歳から発達するミラーニューロンと言うモノマネ細胞は幼児同士だと動作をコピーするなどに役立つ(まずは2、3人の小集団から関わりを始め、慣れてきたらもう少し人数を増やす、更に慣れてきたら自分より年下の子と触れ合いを増やすのが理想的)
- 身振り手振りは大きく分かりやすく、かつ楽しそうに行う
- リズム遊びはゆっくり、段々早くしてタイミングを合わせていく
などなど・・・。言葉の面からも体の面からも色々と教えていただきました!!さすがプロの方・・・ネットに落ちてない情報ばっかりいただいてしまって収穫が凄すぎる!!ありがとうございます本当に・・
また、最後に
「発語を促すために重要なことってなんですか?」
と伺った際、
「子供が言葉や音を出して周りの大人が喜んだり、要望が叶ったりと自分の状況が変わることで、言葉を出すと楽しくて便利だ!!と思うようになれば発語は進んでいきます!大切なのは子供が良い意味で自分の調子に乗っている時にその気持ちを萎えさせないことです」
と教えて頂いて、私もそれは大事にしていきたいと思っていた部分だったのでプロの方と認識の齟齬が無くてよかった・・・!!と思いました。
やはり子供の意欲やテンションが上がっている時に大人も一緒にテンションを上げたり褒めたり認めたりすることって大事なんだなと改めて思いました。
あとやっぱり身体を使った遊びやボディタッチ、コミュニケーションなんかももっと調べてみよう!!と思えました。
発達に関するとても重要なことをたくさん教えてくださったむぎちょこさんと西村猛さんには本当に感謝しきれないです。(教えて頂いたことは今も胸に刻みつけてます・・!!)
素人がいくら本を読んだり情報を漁っても解決できなかったことはやっぱりプロに相談だ!と思ったのでした。
無発語から会話の「一語文から多語文まで」前編を読んでいただきありがとうございました。
よければ次回の後編や他の記事も読んでいただけると嬉しいです。
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